病人は医師を頼りにします。医師が病気を治してくれる救いの神であるとして医師の指示を忠実に守ります。与えられた薬をのんでいれば病気は治せると信じているからです。
ほんとうに病人の立場になって根治療法に献身的に働いていらっしゃる医師はたくさんおられます。私も何人かの方にお目にかかり、頭の下がる思いでお話をうかがったこともございました。だが同時にどの医師も対症療法を重視しがちで、私が、これまでのささやかな研究の中で得た自律神経の治療法を説く方は皆無であったことも事実です。私の知るかぎりでは、どの医師も対症療法のみに走り、自律神経の治療法は放棄されております。
A・F・ハスクリーは、「ナトリウムイオン とカリウムイオンの働きにより神経の伝達作用が行われている」と神経とイオンの重量性を説いていますが、それほど重要な役割を持っているイオンが欠乏したときの対策に論及した発表を、不幸にして、私は拝見したことがありません。ある高名な医学者は、「自律神経に欠乏したイオンを補充することができるならば、ほとんどの病気は治るだろう。だが、それは不可能である」といっておりました。この言葉を裏返していうならば、「現代医学ではほとんどの病気は治療不可能」ということになるのではないでしょうか…。根治療法が開発されていないのですから、あるいはこれが全医学界を代表した言葉かもしれません。対症薬が激増して、いつのまにか薬づけの医学になってしまったのではないでしょうか。