宿便をとることで私たちの胃腸は本来の健康な働きを開始します。それと同時に私たちの体の各内臓器官も活発に働くようになってきます。胃腸の働きは音楽的なリズムを奏で、きわめて快調です。
しかし、音楽の3原則というのは、リズム、ハーモニー、メロディーであることはみなさんはよくご存じでしょう。私たちの健康も同じで、リズムというのは内臓器官の働き、ハーモニーというのは自律神経、そしてメロディーというのはイオンです。この三つが調和されてこそ私たちの健康は保たれているのです。
ここで自律神経とイオンという言葉が登場してきました。この二つは私たちの健康に不可欠なものです。自律神経というと、語感から受ける難解な感じや堅苦しさがあって一般になじみにくいものですが、ここで、第1章に説明しておいた「24時間食べ物の旅」の項をもう一度思い出してください。
私たちが食べ物を口に入れたときに唾液が分泌されますが、これは自分の意志ではありません。自律神経の指令によって、唾液が分泌されるのです。食べた物が食道を通過するときも、肺の方に行かないように気管支の道をすぐに閉じてしまうのも、自律神経の指令なのです。食べた物が胃へ下りてくると、胃の入り口のドアが開くのも自律神経ですし、胃の入り口のドアを閉めて食べた物が逆流しないようにしているのも自律神経の働きなのです。 胃に胃液を分泌してくれるのも、もちろん自律神経の指令ですし、腸のドアの開閉もやはり自律神経です。胃に強力な胃液を分泌してくれるのも、もちろん自律神経の指令ですし、腸のドアの開閉もやはり自律神経です。 胃腸で消化した養分を肝臓へ送るのも自律神経なら、肝臓でグリコーゲンにして寸分の狂いもなく各器官に必要量を送り届けているのも自律神経なのです。それらの働きは私たちの意志によるものではありません。「オレには関係ナイヨ」といっても、自律神経がちゃんと規則正しく、順序よく、寸分の間違いもなく、私たちの体の中を支配し、動かしてくれているわけです。
私たちは脈拍を自分の意志で左右できますか。できません。私たちは自分の意志で心臓のポンプを動かすことができますか。できません。人間は一生の間に約30億回も心臓のポンプを動かしておりますが、それを動かしているのも自律神経なのです。
最も身近な例をあげてみましょう。私たちは突然暗いところへ入ると、瞳孔を大きく開きます。そして、まぶしいところへ出ると目を細めます。これも自律神経の指令です。暗いところへ入ったとき大きく瞳を開くのは、暗がりの中でも物を見やすくさせる交感神経の働きですし、明るいところへ出たとき目を細めるのは、強い光から瞳孔を守ろうとする副交感神経の働きなのです。
すこし難しくなりますが、自律神経というのは交感神経がバネ的に働くとき、副交感神経はそれをセーブする働きを持っているのです。普通この二つが拮抗していますのでうまくバランスがとれているのですが、このバランスが崩れたとき、いわゆる自律神経の失調になるのです。
私たちは恥ずかしいときや怒ったとき顔が赤くなります。これは副交感神経が強く働いて顔面の血管が拡がるからです。逆に青くなる人もいます。青くなって恥ずかしがる人はいませんが、青くなって怒る人がいます。これは交感神経が強く働き、血管を縮めてしまうからです。恐怖をおぼえたときは、ほとんどこの状態になるわけです。またお酒を飲んで赤くなる人と青くなる人がいます。ともに血液の循環の程度が表面にあらわれてくるわけですが、赤くなるのは副交感神経の強い人で、逆に青くなる人は交感神経が強く働いているのです。