健康な人は、顔の血色がよく、肌に弾力があり、ツヤツヤとしていかにも内面からにじみ出る生命の輝きがあります。逆に不健康な人は、顔が青白く、皮膚に光沢がなく、ガサガサして潤いがありません。血液の老廃化や悪循環が皮膚の細胞にまで影響を及ぼしているからです。私たちの体は正直なもので、健康状態は皮膚という表面にあらわれてくるのです。皮膚こそその人の健康のバロメーターといえましょう。
私たちは全身を皮膚で覆われていて、保温の役目と同時に微生物や毒物などの外敵の侵入を防いでくれています。皮膚には毛穴や汗腺のほかに、直径400万分の1ミリという目に見えない網の目が無数にあります。その網の目で毛細血管が皮膚呼吸をし、内臓器官の円滑な活動を助けているのです。
また、私たちの皮膚は毎日、その日の皮膚がはがれ落ちて新しい皮膚を作っていまです。血液の循環が悪くなったり皮膚呼吸が不足したりしてくると、その日の皮膚が落ちずに残ってしまい、新しい皮膚がうまれてきません。ですから、肌のつやが悪くなります。青白い病的な肌、というのは、この新陳代謝の衰えた肌にほかならないのです。
みずみずしい肌というのは、血液の循環がよく、皮膚呼吸が活発な状態です。特に女性は化粧品を使うとき、皮膚呼吸がふさがれてしまいます。常に肌を清潔にして皮膚の新陳代謝にこころがけてほしいものです。それにはやはり胃腸の宿便を取り除き、胃腸の機能を高めてやる必要があるのです。
人間の皮膚の総面積は、成人の場合で約1万6千平方センチですが、それらの表皮は一見、板のような平面ですが、実は細かいヒダがあり、伸縮性を持っています。老化するにつれて皮膚は風化し、弾力を失い、伸縮が緩んでヒダはミゾになってきます。いわゆるシワと呼ばれるものです。目尻や口元・首筋にシワができやすいのは、その部分の筋肉の運動量が多く老化が早いからです。
私たちの目に見える皮膚、つまり表皮の厚さは、だいたい0.1ミリから0.3ミリくらいで、きわめて薄く、最も厚い足の裏でも1.3ミリくらいしかないのです。そんな薄い表皮ですから風化による皮膚の衰えはどうしてもさけられません。しかし皮膚の老化にプレッシャーをかけることはできます。腸の働きを活発にしてやることで皮下組織は若返り、皮膚呼吸が旺盛になってくるからです。
人間は0.6パーセントの皮膚呼吸をしておりますが、もし人間が皮膚の総面積の半分をヤケドしたら死に至ります。それを考えますと、わずか0.6パーセントの人間の皮膚呼吸がいかに大切なものであるかがわかるでしょう。