胃の中では強力な胃液を分泌させながら、1~2時間で食べた物をドロドロにこなしてくれます。そして、酸性にしてしまうと、はじめて腸の入り口(幽門といいます)が開き、十二指腸へ送られます。
十二指腸へ送られてきた食べた物は、ここで肝臓から分泌されてくる胆汁によって完全に脂肪を分解し、さらに小腸へ送るのです。ちなみに十二指腸というのは、文字どおり指が十二本の長さ(平均12センチ)であるところからその名が付けられています。ついでに述べておきますと、腸というのは十二指腸、小腸、大腸、直腸の総称で、その長さは日本人の場合で平均3.9メートルといわれています。
小腸では消化されてきた養分を吸収し、大腸では主に水分を吸い上げながら養分のカスを力強く押し出しています。つまり、このカスはウンチです。ウンチは時速10センチから20センチのスピードで直腸へと送り込まれてきます。
直腸はいわばウンチの貯蔵庫のようなもので、これがいっぱいになると、私たちは便意を催し、トイレへ行きたくなり排泄するわけです。
食べてから排便するまでの全行程をおよそ24時間で終了します。したがって私たちの体の中は昼夜兼行で毎日ゴットンゴットンとたのもしく働いているのです。その偉大なオートメーション工場を、私たち一人一人がみんな体の中にもっているのです。
そのオートメーション工場では胃腸から糖を、膵臓からインシュリンを、そして副腎からアドレナリンを生産して肝臓へ送り込んでおります。肝臓ではそれらをグリコーゲンにして体の全機能を動かしているのです。腸から吸収された養分で血液が生産され、私たちの活動力となっています。
こうしてみますと、わずか5メートルほどの一本の消化器官がまことに神秘的、かつ高邁な作業をしてくれていることがおわかりになってくると思います。
体の中のこれらすべての器官がそれぞれ活発な働きをし、任務を遂行している状態を健康体といいます。私たちは体の中のしくみを知っておくと同時に、各器官が渋滞無く快調に働くように努めなくてはならないのです。