どこといって病気があるというわけではないのですが、悩みの種は、10年ほど前から気になりだした口臭です。私は歯槽膿漏ですので、口臭はそのせいだろうと思い、一生懸命に歯を磨き、朝だけでなく寝る前にも磨くなどとても注意してきました。にもかかわらず、私の口臭は年々ますますひどくなるばかりでほとほと弱りはてています。
実は、36歳になって未だに独身を通しているのも、もとはといえば、この口臭のためなのです。せっかく好ましい男性が現れても、自分のひどい口臭を考えると意気消沈してしまうのがオチでした。
ところがそのうち、私の口臭が、あながち歯槽膿漏のためばかりでないことがだんだんわかってきました。独身の淋しさで、私はときおり酒場に足を踏み入れており、現在では唯一の楽しみになっているほどですが、たとえばニンニクの入った料理などを食べたときなど、そのあと2日も3日もいやらしいにおいが、口臭となって残ることがわかったのです。いったい、私の胃袋はどうなっているのかしら?と考えるだけでもおぞましく、夢も希望もありませんでした。
ところが最近、故郷の叔父が北海道から上京して10何年ぶりかで会いましたが、そのとき、叔父がまたひどい口臭の持ち主であることを知り、大変なショックを受けました。父の兄弟ですから、私とも体形が似ており、からだつきも短足でずんぐりしています。ひょっとすると、胃袋も同じ格好をしているのじゃないだろうかと、ぎょっとしたものです。疑心暗鬼というか、つまり、そう言う体型が口臭のもとではないかというふうにも疑われ、つくづくイヤな家系だなと思ったりしたものでした。