最初、左の眉毛がぬけだしたのは、私が13歳になった頃でした。ヘンだなと思ううちに、半分ほどぬけてしまいました。中学生でしたから、むろん化粧のことなんか考えもしませんでしたが、何となくみっともないので、母の眉墨を使っていました。
それから2年ほどたった15歳の時、今度は右の眉毛がムズムズしてきました。案の定、また根っ子が枯れたようになって、上の方からちょっと引っ張っただけでも眉毛がぬけるようになりまいた。
ちょうどその頃、風呂に入って頭を洗ったあと、湯船の中に長い髪が散乱しているのにびっくりしました。後の人のために湯船に浮かんだ髪を捨てましたが、その量は一握りほどもあり、ぞっとしました。
鏡で調べてみると、右目の上の方髪の生え際から1センチばかりのところが、10円銅貨くらいの大きさで、三日月状に脱毛していました。おどろいて病院へ行きましたが特効薬はありませんでした。その後も病院を何軒か変えてみましたが、治療の甲斐はありませんでした。
17歳のとき、今度は、左側のこめかみのあたりからぬけはじめ、指3本くらいの大きさで円形に脱毛しました。
20歳の時、今度は、左側のぬけた部分が拡大して、掌半分くらいがやはり円形状に脱毛しました。これを隠すために、ほかの髪をウェーブさせたりいろいろ苦心していましたが、ある風の日、それがめくれてしまったのです。近所の子供たちにそれを見つけられ、オバケと呼ばれたときには、身がちぢむような思いでした。