食べなければやせるだろうということで、朝食をぬく人も少なくありません。朝食をぬけばやせるかというとそうはならず、逆に太ることは今や常識です。1日の摂取カロリーが同じだとしますと、何回にも分けて食べた方が太らないことが確かめられています。したがって、やせるために朝食を抜く人は、科学的には全く逆のことをやっているわけです。
女性が肥満をきらうのは、まず第1に美容の点からでしょうが、肥満がよろしくないのは、実は美容などという、なまやさしい問題ではありません。おどかすわけではありませんが、肥満の人はいろいろな病気にかかりやすく、また短命であることも事実です。
たとえば、高血圧症、動脈硬化症、あるいは心臓病といった循環器系統の疾患とか、糖尿病、痛風といった代謝性の疾患は、いずれも肥満の人に多い病気です。また太って体重も重いところから、間接の疾患も多いわけです。糖尿病では、太った人の死亡率が、そうでない人の4倍も高いことが知られています。
子供の肥満も含めて、太りすぎが大きな社会問題になったのは高度成長期の頃でした。食べ物が豊かな時代になって、糖分とか脂肪分の多いものをたくさん食べるようになりました。しかし、食べる割にはあまり運動をしないということで、肥満が急激にふえたと考えられています。
食べれば太るということは、一般的な常識になっていますが、果たしてそうなのでしょうか。肥満は食べ物が原因なのでしょうか。私はこれに対して、あえてノーと言いたいのです。
まだ結核という病気が多かった時代、がらがらにやせていた私の友人は、この病気を治すために、栄養価の高い食べ物をどんどん食べました。結核が治ったとき、友人はものすごい肥満体になっていました。
食べたから太ったことに間違いありませんが、にもかかわらず、私の答えはやはりノーです。太ったのは食べ物のせいではなく、それは、胃腸のはたらきが低下していたからである、と私は考えています。その理由を述べる前に、まず次の手記をお読みいただきましょう。