女性には便秘がつきものといわれるくらい、多くの女性が便秘に悩んでおられます。しかし、すっかり慣れっこになっているせいでしょうか、便秘を胃腸の病気であると考えている人は少ないようです。
便秘も人によっていろいろで、たとえば夏休みなどに田舎へ行ったときとか、旅行したときなど、普通は何でもないのに、急に1週間ばかりお通じがなかったりすることがよくあります。これは一時的なもので、我が家に帰れば、またもとどおり便がでるようになりますから、これは病気ではありません。
ここで問題なのは、そういう一時的な便秘ではなく、5年とか10年とか、慢性化した便秘です。それもはっきりした原因がわからず、治しようもないままに便秘がつづいているといったケースが、女性には少なくないようです。
女性は男性よりも体質的に我慢づよくできています。とくに他人を交えたような場合、席を外してトイレに行くことがはばかられるといった場合がよくあります。そうしますと、せっかく便意がでても、我慢しているうちに便意がなくなります。これが習慣化して便秘になるといった場合もあります。
食べ物はふつう、およそ15時間くらいで大腸を経て直腸まで行くわけですが、運動不足や睡眠不足など、何らかの理由で胃腸のはたらきが悪いときは、30時間あるいはもっとそれ以上の時間がかかります。こうなりますと、水分がどんどん少なくなって、便は次第に固くなります。つまり便意はあっても、なかなか排泄されずに便秘になるというケースです。
もうひとつは、腸の蠕動(ゼンドウ:収縮活動)との関係で便秘になることもあります。ふつう、便は次々にうねっていくものですが、不規則な蠕動運動のために、とんでもないところがぎゅっと締まったりして便がまた逆に戻ることがあるのです。こうして行ったり来たりしているうちに、さらに水分をとられて固くなってしまいます。こういう場合は、横行結腸から、さらに上行結腸のあたりまでも便が詰まってしまいますので、1週間も10日も、お通じがなくて苦しむことになります。
お通じは毎日あるにこしたことはありませんが、3日に1度きちんとある場合は、それほどこだわらなくてもいいといわれています。しかし、4日もお通じがないと、やはり心配になってきて、売薬の浣腸や便秘薬のお世話になるわけですが、実はこれが問題の始まりなのです。
おおくの便秘薬は確かによくきいてお通じが出てきますが、対症薬ですから、便秘症そのものを根治するわけではなく、薬をやめればすぐまた便秘に舞い戻る可能性があるわけです。そこでまた便秘薬を飲むことになるわけですが、便秘薬というのは、腸の蠕動運動のはたらきをよくして排便をうながすものですから、クスリの成分が血管内にも入ることになります。ここに副作用の問題が出てきて、便秘薬を飲み続けるうちに、薬はだんだん効かなくなってきます。
効かなくなれば、飲む量を増やすしかありません。それにつれて薬の副作用も増大して、腸の蠕動にも悪影響をおよぼします。つまり、最初は比較的ゆるやかだった便秘も、徐々にすすんで本格的な便秘症に移行することになり、ここにも対症薬の矛盾があります。
便秘が慢性化するとどうなるのでしょうか。腸の内側には、ちょうど絨毯の毛のような絨毛(ジュウモウ)がぎっしりと密生しています。ここは食べ物の養分を取り込む大切なはたらきをもっているところですが、反面、食べ物の残りカスが絨毛の間にひっかかりやすくできています。たとえ健康体の人でも、食べ物のカスがここにひっかかりますとあとからあとからそこにカスがたまって、長い間にはこれが宿便となります。
こうなると、腸内の流動を妨げるばかりでなく、胃腸のはたらきもわるくなって、栄養分やイオンの吸収力も弱めることになり、ここに病気というものがやってくるのです。便秘はこの宿便の堆積をぐんぐん早めますから、慢性化とともに胃腸の機能が低下して、頭痛・肩凝り・めまいなどを併発するようになります。
私は便秘症の方からたくさんのお手紙をいただいております。ほとんどの方は慢性化しており、すでにいろいろな症状をともなっております。そのもとが、おなかの宿便にあることはいうまでもありません。次にそれらの手紙の中から、いくつかを選んでみました。みなさんはいずれも、おなかの宿便清掃とイオン入湯によって、短期間のうちに便秘の悩みから脱出しております。