その頃の私は、本来ならば青春の真っ盛りという高校3年生。ところが現実はゼンソクの発作が年々多くなり、しかもそのつど病状が重くなって、ほんとうに夢も希望もないお先真っ暗な日々でした。
いつの頃からか、薬は切らさずに服用していて、その効力は日増しにうすれていました。ゼンソクというのは、発作がないときは常人とまったく変わらず、運動もできます。ところが高3の頃には、まったく無理がきかないからだになっていました。たとえば、体育の授業でトラックを軽く2~3周しただけでも苦しくなり、翌日から1週間の欠席です。また、試験勉強などで深夜2時頃まで起きていると、やはり欠席につながる発作が起きてきます。そして、だいたい1日程度の軽い発作が週に1回はあり、つきに1回重い発作(1週間から10日)が起こって入院したこともありました。そのたびに休学を考えるありさまでした。
ことゼンソクに関しては、人がよいというものはなんでも試してみました。名医といわれる先生、あちこちの開業医、ハリ、キュウ、指圧、そしてアロエの葉や鶏がらなどの食事療法もやってみました。どれも結果はかんばしくありません。むしろ症状を悪化させるものさえありました。
だから、健康法 のことを聞いたときも、あきらめが先に立ち、行く気になれなかったのですが、大きな発作に襲われて、母が私を無理やり連れて行ってくれたのです。
そして入湯をはじめたのですが、これは大変なことでした。というのは、私の家には浴室がなかったのです。ですから6畳間にビニールを敷き、お風呂桶を置き、その中へ別に沸かしたお湯を入れるのです。
お風呂桶にいっぱいのお湯を沸かすのは、まったく大変なことなのです。私は家にお風呂のある人を、どんなにうらやましく思ったかしれません。お風呂桶のお湯がさめないように、そばにコンロを置いて部屋を眺めながらはいるのです。
こんな不自由ながら、1日に1時間ずつ2回、これを毎日つづけました。2ヶ月、3ヶ月とたっても治りません。私は何度もやめようと思いました。そのつど励まされ、1日1時間ずつ3回もお風呂に入ったりしました。
そして4ヶ月目、咳の出方が少し減ってきて発作の回数も減少し、それからというものはファイトがわいてきて、1回に3時間もお風呂に入っていたことさえあります。こうして6ヶ月から、ゼンソクの発作はついにピタリとやみました。
考えてみますと、私のゼンソクは、もとは百日ぜきからでした。そして投薬を受けるようになってから悪くなり、ある日“新薬”を注射され、とたんに様子がおかしくなったのです。
その後もいろいろなところで、何の説明もされないまま長期にわたる体質改良や特効薬投与などを受けました。薬の弊害が騒がれだしたのはそれよりあとのことで、ほんとうに後の祭りでした。その場の苦しさに負け、体に悪いと知りながら薬に手をだしていた私もいけなかったのですが、健康法で治ることができ、ほんとうにありがたいです。
10数年苦しんできたものがこんなに早く治って夢のようです。ほんとうに心から感謝しております。