まだ高校生だったNさんが、お母さんに連れられてお見えになったのは、昭和51年8月のことでした。お母さんのほうは、それ以前からときどき娘がゼンソクなのでと相談に見えておりましたが、肝心のNさんが健康法をやろうとしないので困っておられました。
それというのも、2~3歳の頃から何とかゼンソクを治したいと方々の病院をあるき、また民間療法も片っ端から試みたそうですが、年々、Nさんのゼンソクはひどくなるばかりで、今ではもうどこへも行きたがらず、半ばあきらめの状態だというのです。
私も同じように重度のゼンソクに苦しんできた人間です。Zイオン健康法はもともと、私自身のゼンソクを治すために開発したものですから、いろいろこまかくアドバイスもできるのですが、本人がその気にならない以上、どうしようもありません。
そこで私は、お母さんに頼んで、Nさんに電話口にでてもらい話をさせていただきました。私は無我夢中で若いNさんに話しかけました。話の内容は、だいたい次のようなことだったと思います。
なぜ病気になるのか、アレルギー体質とは何か、対症薬の副作用、自律神経とイオンの関係、私はできるだけわかりやすく話しかけ、「一度ぜひお母さんと一緒においでなさい、勉強会にきてください」 と説得しました。
勉強会といっても別に特別なものではなく、納得されるまで私の健康法について説明をしてあげようと思ったわけです。
私のこうした努力はしかし、むだではありませんでした。それから間もなくNさんは、また発作に襲われました。これまでにないくらいのひどい発作だったそうです。それでようやく少し気持ちが動いたのでしょうか、お母さんに無理やり連れてこられた格好でしたが、ともかくNさんは私のところへやってきました。お母さんがお見えになってから、1ヶ月がたっておりました。
こうしてようやく、Nさんも納得されて健康法を始めることになったのですが、じつは問題がもう一つありました。それはほかでもありません、Nさんのお宅には、イオン入湯に必要なお風呂がなかったことです。
こういう場合に、みなさんならどうするでしょうか。Nさんのお母さんは娘の病気を治したい一心で、イオン入湯をさせるために、なんと風呂桶を購入されたのです。お部屋でお風呂を立てようというのです。
母は強しと、さすがの私もこれには絶句いたしました。そのNさんが、次のような手記をかいてくださいましたのでお読み下さい。